2016年9月27日火曜日

床の間のこと


前回に続き、和室のことを考えてみます。

昔の家には必ずあった床の間のことです。
最近は人気がありません。木組みの家を得意とする創でも、あまりオーダーを受けることがありません。

理由はスペースを必要とするから。また仰々しいから。そして和の雰囲気が強くなってしまうからでしょう。機能的な空間ではないだけに、いらないと言われれば強く勧める理由も見つけづらいのです。しかし、様式に沿ってつくれば和室はぐっと格調高いものになるはずです。

床の間の飾り方の基本は、壁中央に掛け軸を飾り、床は左に花立、真ん中に香炉、右に燭台を置きます。このルールは、和室の原型である書院造が、鎌倉時代の僧侶の書斎兼居間だったことに由来するんだそうです。
また祝い事がある場合、物の配置で気分を表現する手法もあるそうです。

ちなみに和室には方向があることも覚えておきましょう。
床の間に対し畳の短辺が当たるように敷くのはNG。「床挿し」といって、切腹を連想させるので忌み嫌われます。または床の間に向かって正座した場合、畳の目と床の間が平行だと立ち上がるときに膝が滑らず動作も滑らかでなくなるという理由もあるそうです。

やはり和室をつくるなら、様式をしっかり知っておきたいですね。



2016年9月26日月曜日

どうする和室


お宅に和室はありますか?
これからの方、和室はつくりますか?

と、ここで、これからの方に大胆な提案です。
「あれば使うかも」とか「雰囲気がいいから」とか「見栄え的に」、
といった積極的でない理由で和室をつくるつもりなら、いっそ和室はやめませんか?

いえいえ、和室をなくしたほうがいいというのではなく、むしろ和室をちゃんとしたほうがいいと思うのでこんな言い方をしました。

よくマンションなどで洋室と和室が続き間になっています。他に寝室がないなら仕方がないとして、洋室と和室をつなげるなんて、ほとんど意味がないように思われます。
また戸建でも、配置をあまり考えず客間として和室をつくっても、ほとんどが物置部屋になったりします。

こうした原因がどこにあるかというと、和室をちゃんと落ちつける空間にしてないからだと思います。
では和室を落ちつきのある空間にするにはどうすればいいか。

まず、和室にカーテンはやめましょう。やはり障子です。目的に合わせ、月見障子か雪見障子を選ぶのも大切です。
次は照明。天井の照明はやめて床置きにするのがオススメです。その方が断然落ち着いた雰囲気になります。

そして、配置はなるべく家の奥にした方がいいでしょう。「奥に通す」と言いますが、言葉通りにした方が落ち着きが増します。
また、入り口も襖が全開になるようなオープンタイプではなく、半間幅くらいで奥の方にある方がいいでしょう。茶室のにじり口の考え方です。

やはり和室は、家の中でいちばん落ち着く空間であるべきです。
つくるならその役割を存分に発揮させましょう。




2016年9月21日水曜日

再びテーブル問題 


前回は、ダイニングテーブルと椅子の「差尺」について紹介しましたが、じゃあ、テーブルの大きさはどうすればいいのか?

いちばん多く見かけるのは4人用のテーブルですが、その大きさは約1500mm×800mmくらい。6人用となると約2100mm×900mmくらいが一般的なようです。

ちなみに食事のために必要なスペースは、ひとりあたり幅600mm、奥行き800mm程度と言われます。二人並べばそれだけで幅は1200mm。幅1500mmのテーブルでは300mmの間隔ができる計算ですが、食卓には各々の茶碗や皿だけでなく、大皿も並ぶし、調味料も置かれます。そして何より、人により体格が違うし、動き方も様々です。
つまり4人だから1500mm幅のテーブルでOKではなく、最低1500mmなければならないと考えましょう。

と、ここで提案ですが、ダイニングテーブルを食事のためだけに使うのではなく、多目的に使うことを考えて、極力大きなテーブルにするのはどうでしょう。

4人家族だけど、テーブルは8人用にするとかです。
家族みんな肩寄せ合っての食事もいいですが、4人ギリギリのスペースで食べるより、ゆとりがあった方がゆっくり落ち着いて食事ができるはずです。

また、毎日家族が揃って食卓を囲むとは限らず、遅く帰ったお父さんが食事する側で、子供が宿題をしたりなんてこともあるはずで、そんな時は大きなテーブルの方が好都合なはずです。あるいはケンカしたばかりで並んで食事するのが気まずいなんて時にも便利です。

もちろんテーブルを大きくするには、それに見合う空間が必要です。
敷地に余裕があれば問題ないでしょうが、様々な制約の中で快適な家にするためには、あれこれ揃えようとしたり固定概念に縛られず、自分たちがどう暮らしたいかを考え、どこかに際立った特徴をもたせた方がいいかもしれません。