2015年9月16日水曜日

技と工夫のアーカイブ ② 『創の家』 〜根曲がりの太鼓梁〜


『創の家』 竣工:平成20年3月





私たちがつくる家では、家を支える梁組を見えるようにすることが多いです。
とくに多く使うのが根曲がりの杉材などを太鼓仕上げにすること。「太鼓梁」と呼ぶそれは丸太を四角に製材するのではなく、一辺ないし二辺は丸太の形状を残し製材します。これにより構造材としての木の強さを生かすことができ、見た目にも木のたくましさややさしさを感じることができます。

根曲がり材とは根元が曲がった木材のことです。木目の美しさはまっすぐな木材より劣りますが、根曲がり材にはその分強さがあります。
まっすぐで木目が整った木はおもに陽当たりのいい南斜面で育ちますが、根曲がりの木は陽当たりの悪い北斜面で育ちます。悪条件で生まれた木は、懸命に陽射しを求めて育った結果根が曲がってしまいます。しかしそこには強さが備わるのです。
恵まれた環境ですくすく育つより、逆境をはね除け育った方が強い。木も人も同じなのですね。

さて創の家の小屋組は、根曲がりの太鼓梁の上にさらに二重三重の梁がかかります。それは構造の力強さを印象付けながら、天井高を実際より高く感じさせるという効果もあります。
この太鼓梁ですが、創の家の後に手がけた家ではより太い材料を使うようになり、さらに強く、たくましさを感じさせています。





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