震災後の混乱時に手掛けたこと、初めて応募した住宅コンクールで最優秀賞を受賞したことなどで印象深く、作り手としても大きな転機となった住まいです。
家のコンセプトからわかるように通常より基礎を高くしたのは、建て替え前の家が津波被害に遭ったので、二度と同じ思いをしないようにという願いからです。
『心和む灯りのある家』でスキップフロアについて紹介しましたが、この住まいでは1階の暖房熱をさらに効率良く2階に行き渡らせるために、2階のロフトの床をスノコ状にし、その上部には越屋根を設けました。
まるで家が帽子をかぶったような越屋根は外観にも特徴的ですが、これにより冬場の暖房効率は格段に良くなります。また夏は暑い空気がロフトのスノコ床と越屋根の窓を通って外に逃げるので、熱や湿気が室内にこもるのを防ぎます。コンクールでも空調機器に頼らない家であることが大きく評価されました。
ご家族によると、冬は1階の薪ストーブだけで暖房をまかない、夏は冷房に頼らず海からそよぐ風で快適過ごせるそうです。
また南面の大きな窓に面した3帖大のスキップフロアは、家族がともにくつろげるオープンスペースですが、冬場は洗濯物干しの場としても重宝するとか。薪ストーブのおかげですぐに乾くそうです。
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