2016年3月17日木曜日

技と工夫のアーカイブ24 『風流感じる木組みの家』 〜熱循環のために〜


『風流感じる木組みの家』 竣工:平成26年11月



無垢材が長持ちする環境にするため、そして空調効率を高めるため、風通しを良くする工夫をいろいろ試してきました。
夏の暑い空気を外へ逃がす越屋根、1階の暖房熱を2階にも届けるため立ち上がり部分を開放にしたスキップフロア、欄間上部の開放、スノコ床、ルーバー壁
そしてこの家で取り入れたのは『油煙抜き』です。

1階の薪ストーブはこれ一台で家中の暖房をまかなえるほどの能力を持ちますが、スキップフロアがあり越屋根に面する2階廊下と寝室は仕切られるため、そのままではせっかくの暖房熱は寝室には届きません。そこで欄間くらいの高さに障子付きの油煙抜きを設けました。

『油煙出し』とも呼ぶそれは、室内に囲炉裏のある家で煙を外に出すための穴のことで、茅葺屋根に多く見られました。また、昔のろうそくは煙が多く出たのでそれを逃がす役目もあったそうです。
この家ではこうした特性を応用し、暖房熱を室内に呼び込むためのものとしました。

伝統建築の意匠を参考に、現代の住まいに役立つものにしていく。
そんな工夫をこれからも続けていきたいと思っています。


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