2016年5月6日金曜日

技と工夫のアーカイブ30 『自分たちの風景のある家』 〜中庭〜

『自分たちの風景のある家』 竣工:平成28年4月


石巻では復興工事が盛んに進められています。沿岸地域でかさ上げ工事が終わったら、風景はどんな風に変わるのでしょうか。現在、かさ上げ工事と同時進行で住宅の新築工事も目立っていますが、何しろどんな街並みになるかわからないので、都市計画をしっかり読み解き、完成後の風景を想像しながら家づくりを進めなければなりません。

この住まいでは敷地の目の前にかさ上げ道路が通る計画になっているので、普通に通りに開けた家構えにすると、通りから家が見下ろされるようになってしまいます。
通りからの視線を遮り、見下ろされる不快感をなくすこと。そして明るい日差しを確保すること。そんな課題を解決するために生まれたのが中庭を設けることでした。これなら通りからの視線を感じずに済み、自分たちだけの風景を楽しめるというわけです。

中庭のデッキは室内と床面の高さを揃えたので、中庭も室内と同じように使えます。そして一歩中庭に出て見上げれば、家族だけが楽しめる空があるというのは実に贅沢。真ん中に植えたシンボルツリーもさらにゆとりを感じさせます。

私どもが手がけた家では初めての中庭のある家。次にまた似たような敷地条件の家を手がけることがあったら、この経験を応用してそこで最善の家を建てたいと思います。


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