2013年12月27日金曜日

木の家の良いところは?


木の家の良いところは?と聞かれてどう答えるか。

頑丈なことに間違いはないが、ハウスメーカーの耐震構造より?と突っ込まれると困る。
法隆寺は木造建築で、千年も保っていますと言っても、千年は住まないと言われればそれまで。

では、木の家の良いところは、「ゆるいところ」と言ったら誤解されるだろうか。
ゆるキャラの「ゆるい」である。
「ゆるい」=「粗雑、適当な」と受け取られるのがオチか。

しかし、「ゆるい」には、堅苦しくないとか、気詰まりしないとか、肩が凝らないとか、形式張っていないといったニュアンスがある。

一日中働いて、気詰まりな肩が凝る家に帰りたいですか?そして、形式張り、堅苦しい暮らしがしたいですか?または、一日中そんな家に居たいですか?

今月の初めに発売された「BRUTUS」(12.15号)で、『あたらしい木の家』の特集をしているが、記事にこんな下りがあった。

「(木の家は)ある意味ルーズな構造ですが、それがクッション性にもなって、中で暮らす人の疲れを軽減している。(中略)“ビクともする”構造だからこそ、体に柔らかく、優しく、穏やかに感じるのです」(89ページ)


そうそう、その通り!と膝を打ちたくなった。
そもそも木は、反るし、曲がるし、捻れるし、割れる。
そんな自然の摂理を許容する構造だからこそ、住む人に緊張を強いず、優しく包むのかもしれない。
逆に言えば、ちょっとした変化や予測できない動きが気になる人には、木の家は向かないのかも。

でも、近頃、木の家が注目されているのは、ちょっとゆるくてもOK!という気分があるからではないか。

木の家には、ゆるいからこそ、ガチガチで無表情な工業化住宅にはないやさしさと心地良さがある。さらに、木造はどんな設計スタイルも許容する幅広さもある。

やはり、木の家は、堅苦しくなく、大げさでない「ゆるさ」が魅力なのだ。

そんなわけで、来年も木の家の豊かさを「ゆるく」考えて行きたい。

皆さま、よいお年を。



2013年12月14日土曜日

なにしろ椅子好きなもので


二階はさほど広くありませんが、数えてみたら、そこに6つの椅子がありました。

ソファ2つ スツール3脚 椅子1脚
さらにいま、このブログを書くのに座っているのを合わせると7脚。





また、1階のダイニングやソファを合わせると。。。

そんな椅子好きコレクションの中で、いちばんの新入りでお気に入りがこれです。




「木のしごと樹々」の齋藤さんと革職人「hi-hi」の平間さんの作品
『Bean stool』です。その名の通り。豆です。豆みたいな座面がユニーク。

しかも実に座り心地がいい。座ると腰の力が抜けるのがわかります。
ホッとします。

その座り心地は、齋藤さんと平間さんの一切の妥協を配したものづくり魂で支えられています。

たとえば、座面と台座の継ぎ加工。そして、パンパンに張った革の縫製などなど。
説明すると長くなるので省きますが、そこまでやるか!と絶句するほどのこだわりがカタチになっています。

でも、そんなこだわりより、使ってなんぼです。というふたりの潔さも気持ちいい。

これぞクラフトマンシップに満ちた一脚です。


ちなみに、上の写真の手前から3つ目、座編みのスツールも齋藤さん作です。



2013年11月23日土曜日

食・石川



石巻には、『名店』と呼ぶにふさわしい店がいくつかありました。
と、過去形で書かなくてはならないのは、それらの多くが河岸の近くにあったため、津波の被害に遭い、移転や閉店を余儀なくされてしまったからです。
そう、名店、老舗の多くは河岸の近くにあったんですね。
まちの生い立ちが偲ばれます。

そんな名店の一軒、すき焼きの『石川』が、石巻バイパスの北側、住吉中学校近くに12月3日(火)新築移転オープンします。
『すき焼き 石川』としていた屋号は、『食・石川』と改められ、肉料理だけでなく料理の幅がいっそう広がるそうです。

住宅街の路を奥に入った平屋建のこじんまりとした店は、新築ながら外観も店内もすでに落ち着いた雰囲気がありますが、それは、ところどころに誂えられた古い建具や古道具、そして無垢の木や土の風合いを生かした土間など、素材の良さが満ちているからでしょうか。名店の味の邪魔をしない建物の雰囲気には、好感が持てます。

素材の良さが際立つ料理を、しっくり心に馴染む落ち着いた空間でいただく。
派手さや、にぎやかさやはないけれど、そんな落ち着いたひとときを持つのが
いま、いちばん贅沢なのかもしれません。



【食・石川】
〒986-0815 石巻市中里1−9−10
Tel.0225-95-2358
営業時間/17:00~20:30(L.O.)
月曜定休(不定休あり)




2013年11月7日木曜日

この頃、へんな物音がするんです


ええ、一度や二度じゃありません。
私ひとりが耳にしたわけでもないので錯覚でもありません。
この前は、ベッドに入ったところで大きな音がしたのです。

パキッ パキパキッ。。。パンッ!
一瞬にして眠気も醒め、ぞくぞく寒気がするような不気味な音。

ポルターガイスト。ラップ現象。オカルト。。

この家には誰かいるのか。。。

なんて、長い前フリでごめんなさい。怖いのが苦手な方はすみません。

物音の原因は、いわば『家鳴り』と呼ぶ現象で、とくに木造の新築では良く起きる現象です。

このブログでもご紹介しているように、木は生きています。
とくに伐ったばかりは縮んだり、反ったり、曲がったり、捻れたり、割れたりします。
建築材では乾燥したものが使われますが、それでも無垢材の「くるい」は宿命です。
なぜそうなるのか。それは木が乾燥していく過程で表面と内部の水分量に差が生じるから。

「だから木はダメなんだ」という人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。ちょっと難しくなりますが、木の乾燥、収縮とは、木材の組織が結合し強度を増す過程なんだそうです。置かれた環境(湿度や温度)にマッチするように木は自ら調整しているのです。

「おれはこの家を支えていくから、しっかり落ち着こう」

木はそう考えて頑張る時に「くるい」という現象が起きます。そこでパキッ パキパキッと音を出すのです。
最近になってそれが顕著になってきたのは、薪ストーブを焚くようになったから。

ちなみに、仕口や継手によって組上げられる建て方では、木材の反りや曲りのクセが作用し合って建物全体をガッチリ固める効果もあるのだそうです。
言ってみれば木は「動きながら強くなっていく」のです。

そうわかれば、毎夜の家鳴りも怖くありません。どんどん鳴ってわが家を強くしてほしい、と思ってしまいます。

2階 太鼓梁に入った割れ



2013年10月30日水曜日

伐る 割る 干す 焚く



この季節、どこかでそれらしい煙突がある家があったら、近くを歩いてみてください。
プーンと、焦げたような懐かしいような匂いがしたら、そのお宅では薪ストーブに火が入ってるはずです。

わが家も初シーズンの火が入りました。
まだ全開で焚いてるわけではありませんが、暖房が必要なほど寒くはないけど、つい火を熾してしまうのは、薪ストーブにはあったまる以上の楽しみがあるからでしょうか。

さて、前々回もご紹介したようにうちの主燃料は、創の家の建築現場で生まれた端材です。それらは長さを揃えればすぐ燃やせる状態ですが、通常、薪を整えるにはそれなりの労力と時間が必要です。

まずは木を伐る。山から伐り出すのは別として、その後にも丸太をちょうど良い長さに伐る「玉切り」という作業が必要です。
うちのストーブは窯内部の幅が40cmほどなので、それ以下の長さに伐る。




その後は玉切りしたものを斧で割る。
パコンパコン割れます・・・といいたいところですが、直径が15cmを超えると一発では割れません。
そうした場合は楔を使い割ってからさらに2分割。
太い幹や二又に枝分かれした部分を割るのは大変だけど、それ以外は気持ちよく割れます。パコンパコン。

さて、気持ちよく割れた薪は、よく乾燥するまで待たなければなりません。
この7月に伐採したサクラ材は、薪にできるほど乾燥してないので、使えるのは来シーズンでしょうか。

うちでは立派な薪棚も完成しました。それは棚というよりほぼ小屋に近い存在感です。
これならワンシーズン分の薪が収納できそうです。

スイッチひとつであったかくなる空調機とは違い、薪ストーブであったまるには、伐って、割って、干して、焚く作業が必要です。
そんなのめんどくさいといえばそれまでですが、そんな手間を楽しむのも薪ストーブならでは。
考えてみると薪ストーブには、道具を使いこなす楽しみがあります。
だから男の子がハマってしまうのでしょう。








2013年10月15日火曜日

窓辺をいろどる



真っ白な外壁を、文字通り華やかにする「フラワーボックス」。
わが家の外観は、軒天などところどころに見える木が温かみを感じされてくれますが、
白壁にサッシ枠のシルバーだけではなんだか殺風景。

そんなわけで、2階の窓にフラワーボックスが欲しいとは設計当初からのオーダーでした。

住宅地では窓辺の風景は決して良い眺めだけではありませんが、これなら無粋な風景もいい感じにしてくれるし、窓を開けてすぐ草花の世話ができます。




よく欧風の家では鉄やステンレスでつくったデコラティブなものを見かけますが、いまどきの木の家にはマッチしません。

木の家にマッチするシンプルな造形ながら、野暮ったくならないこと。
そんなコンセプトに沿うために前板と底板はヒノキで誂え温かみを感じさせながら、
壁からのアームは、オリジナルのものをステンレスでつくってもらいました。

アームは、派手な造形ではないので取付けると目立たなくなりますが、よく観察するとシンプルな構造の中に、ステンレス加工の高い技術が見受けられます。

壁と前板に接合する台座とアームは直角になるので、溶接加工をしても不思議はないのですが、曲げ加工にすることでシャープな印象を確保しています。しかもアーム部分の板は中抜きにしているので、デザイン的な重々しさがない。




うーーむ。。見れば見るほど考えられた造形です。

ほんとうはもっと鉢植えの草花を置きたいのですが、育てるタイミングを外したので、賑やかにするのは次の季節の楽しみに。

それより何より、明日は台風で大荒れらしいので、鉢植えを避難させなければ。


2013年10月8日火曜日

冬じたく








自宅前に積まれた木材の山。
これは自宅と創の家の建築現場で生まれた端材です。

数cm角から1mをこえる木材までバラバラ。
そのため細かい端材はカゴに入れていますが、その数すでに16。
不揃いの細かい端材はまだあるので、すべてを入れようと思うとカゴは20をこえてしまいます。

で、この端材をどうするかといえば、すべて薪ストーブの燃料になります。

薪ストーブって薪代が大変でしょ?
と聞かれますが、こうして端材をいただいてくれば燃料代はかかりません。

調湿性や香り、肌ざわりが良いとか、手入れ次第で長く使えるとか、このブログでは無垢材の良さを紹介していますが、端材も燃料として使えるのも魅力。

ちなみに、合板や新建材は化学物質を含むので薪ストーブには厳禁です。

さて、現場で生まれる端材はスギやヒノキがほとんどですが、針葉樹は空気層が多く材質が比較的柔らかい。ゆえに燃えやすいという特長があります。

一般的に薪材として売られているのは、ナラ、クヌギなど広葉樹ですが、それらは堅いゆえに燃えにくい。ただし、着火すれば長い時間をかけて燃えます。
パッと火がついてあっという間に燃え尽きるスギとは比べものになりません。

薪ストーブユーザーは、広葉樹に目がないのですが、そればかりじゃ燃料代がかかりすぎる。そうした意味でも建築端材を使うのはエコでお得な選択なんです。

いよいよ薪ストーブのシーズンになってきました。
自宅前に積まれた端材でひと冬越せるのか?それより前に薪棚をつくって薪を整理しなければ。。。

そんな不安を覚え始めた先週のこと、うれしいプレゼントが届きました。

大きめの段ボール8箱にみっちり詰め込まれた薪材。しかもケヤキです。

これならゆっくりゆらゆら燃える炎を長く楽しめるでしょう。



はたして8箱のケヤキの薪はどれくらいもつのか。
大事に使わねばと思う秋の日です。


自宅のストーブ「morso」購入のおまけでいただきました