2013年12月27日金曜日

木の家の良いところは?


木の家の良いところは?と聞かれてどう答えるか。

頑丈なことに間違いはないが、ハウスメーカーの耐震構造より?と突っ込まれると困る。
法隆寺は木造建築で、千年も保っていますと言っても、千年は住まないと言われればそれまで。

では、木の家の良いところは、「ゆるいところ」と言ったら誤解されるだろうか。
ゆるキャラの「ゆるい」である。
「ゆるい」=「粗雑、適当な」と受け取られるのがオチか。

しかし、「ゆるい」には、堅苦しくないとか、気詰まりしないとか、肩が凝らないとか、形式張っていないといったニュアンスがある。

一日中働いて、気詰まりな肩が凝る家に帰りたいですか?そして、形式張り、堅苦しい暮らしがしたいですか?または、一日中そんな家に居たいですか?

今月の初めに発売された「BRUTUS」(12.15号)で、『あたらしい木の家』の特集をしているが、記事にこんな下りがあった。

「(木の家は)ある意味ルーズな構造ですが、それがクッション性にもなって、中で暮らす人の疲れを軽減している。(中略)“ビクともする”構造だからこそ、体に柔らかく、優しく、穏やかに感じるのです」(89ページ)


そうそう、その通り!と膝を打ちたくなった。
そもそも木は、反るし、曲がるし、捻れるし、割れる。
そんな自然の摂理を許容する構造だからこそ、住む人に緊張を強いず、優しく包むのかもしれない。
逆に言えば、ちょっとした変化や予測できない動きが気になる人には、木の家は向かないのかも。

でも、近頃、木の家が注目されているのは、ちょっとゆるくてもOK!という気分があるからではないか。

木の家には、ゆるいからこそ、ガチガチで無表情な工業化住宅にはないやさしさと心地良さがある。さらに、木造はどんな設計スタイルも許容する幅広さもある。

やはり、木の家は、堅苦しくなく、大げさでない「ゆるさ」が魅力なのだ。

そんなわけで、来年も木の家の豊かさを「ゆるく」考えて行きたい。

皆さま、よいお年を。



2013年12月14日土曜日

なにしろ椅子好きなもので


二階はさほど広くありませんが、数えてみたら、そこに6つの椅子がありました。

ソファ2つ スツール3脚 椅子1脚
さらにいま、このブログを書くのに座っているのを合わせると7脚。





また、1階のダイニングやソファを合わせると。。。

そんな椅子好きコレクションの中で、いちばんの新入りでお気に入りがこれです。




「木のしごと樹々」の齋藤さんと革職人「hi-hi」の平間さんの作品
『Bean stool』です。その名の通り。豆です。豆みたいな座面がユニーク。

しかも実に座り心地がいい。座ると腰の力が抜けるのがわかります。
ホッとします。

その座り心地は、齋藤さんと平間さんの一切の妥協を配したものづくり魂で支えられています。

たとえば、座面と台座の継ぎ加工。そして、パンパンに張った革の縫製などなど。
説明すると長くなるので省きますが、そこまでやるか!と絶句するほどのこだわりがカタチになっています。

でも、そんなこだわりより、使ってなんぼです。というふたりの潔さも気持ちいい。

これぞクラフトマンシップに満ちた一脚です。


ちなみに、上の写真の手前から3つ目、座編みのスツールも齋藤さん作です。



2013年11月23日土曜日

食・石川



石巻には、『名店』と呼ぶにふさわしい店がいくつかありました。
と、過去形で書かなくてはならないのは、それらの多くが河岸の近くにあったため、津波の被害に遭い、移転や閉店を余儀なくされてしまったからです。
そう、名店、老舗の多くは河岸の近くにあったんですね。
まちの生い立ちが偲ばれます。

そんな名店の一軒、すき焼きの『石川』が、石巻バイパスの北側、住吉中学校近くに12月3日(火)新築移転オープンします。
『すき焼き 石川』としていた屋号は、『食・石川』と改められ、肉料理だけでなく料理の幅がいっそう広がるそうです。

住宅街の路を奥に入った平屋建のこじんまりとした店は、新築ながら外観も店内もすでに落ち着いた雰囲気がありますが、それは、ところどころに誂えられた古い建具や古道具、そして無垢の木や土の風合いを生かした土間など、素材の良さが満ちているからでしょうか。名店の味の邪魔をしない建物の雰囲気には、好感が持てます。

素材の良さが際立つ料理を、しっくり心に馴染む落ち着いた空間でいただく。
派手さや、にぎやかさやはないけれど、そんな落ち着いたひとときを持つのが
いま、いちばん贅沢なのかもしれません。



【食・石川】
〒986-0815 石巻市中里1−9−10
Tel.0225-95-2358
営業時間/17:00~20:30(L.O.)
月曜定休(不定休あり)




2013年11月7日木曜日

この頃、へんな物音がするんです


ええ、一度や二度じゃありません。
私ひとりが耳にしたわけでもないので錯覚でもありません。
この前は、ベッドに入ったところで大きな音がしたのです。

パキッ パキパキッ。。。パンッ!
一瞬にして眠気も醒め、ぞくぞく寒気がするような不気味な音。

ポルターガイスト。ラップ現象。オカルト。。

この家には誰かいるのか。。。

なんて、長い前フリでごめんなさい。怖いのが苦手な方はすみません。

物音の原因は、いわば『家鳴り』と呼ぶ現象で、とくに木造の新築では良く起きる現象です。

このブログでもご紹介しているように、木は生きています。
とくに伐ったばかりは縮んだり、反ったり、曲がったり、捻れたり、割れたりします。
建築材では乾燥したものが使われますが、それでも無垢材の「くるい」は宿命です。
なぜそうなるのか。それは木が乾燥していく過程で表面と内部の水分量に差が生じるから。

「だから木はダメなんだ」という人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。ちょっと難しくなりますが、木の乾燥、収縮とは、木材の組織が結合し強度を増す過程なんだそうです。置かれた環境(湿度や温度)にマッチするように木は自ら調整しているのです。

「おれはこの家を支えていくから、しっかり落ち着こう」

木はそう考えて頑張る時に「くるい」という現象が起きます。そこでパキッ パキパキッと音を出すのです。
最近になってそれが顕著になってきたのは、薪ストーブを焚くようになったから。

ちなみに、仕口や継手によって組上げられる建て方では、木材の反りや曲りのクセが作用し合って建物全体をガッチリ固める効果もあるのだそうです。
言ってみれば木は「動きながら強くなっていく」のです。

そうわかれば、毎夜の家鳴りも怖くありません。どんどん鳴ってわが家を強くしてほしい、と思ってしまいます。

2階 太鼓梁に入った割れ



2013年10月30日水曜日

伐る 割る 干す 焚く



この季節、どこかでそれらしい煙突がある家があったら、近くを歩いてみてください。
プーンと、焦げたような懐かしいような匂いがしたら、そのお宅では薪ストーブに火が入ってるはずです。

わが家も初シーズンの火が入りました。
まだ全開で焚いてるわけではありませんが、暖房が必要なほど寒くはないけど、つい火を熾してしまうのは、薪ストーブにはあったまる以上の楽しみがあるからでしょうか。

さて、前々回もご紹介したようにうちの主燃料は、創の家の建築現場で生まれた端材です。それらは長さを揃えればすぐ燃やせる状態ですが、通常、薪を整えるにはそれなりの労力と時間が必要です。

まずは木を伐る。山から伐り出すのは別として、その後にも丸太をちょうど良い長さに伐る「玉切り」という作業が必要です。
うちのストーブは窯内部の幅が40cmほどなので、それ以下の長さに伐る。




その後は玉切りしたものを斧で割る。
パコンパコン割れます・・・といいたいところですが、直径が15cmを超えると一発では割れません。
そうした場合は楔を使い割ってからさらに2分割。
太い幹や二又に枝分かれした部分を割るのは大変だけど、それ以外は気持ちよく割れます。パコンパコン。

さて、気持ちよく割れた薪は、よく乾燥するまで待たなければなりません。
この7月に伐採したサクラ材は、薪にできるほど乾燥してないので、使えるのは来シーズンでしょうか。

うちでは立派な薪棚も完成しました。それは棚というよりほぼ小屋に近い存在感です。
これならワンシーズン分の薪が収納できそうです。

スイッチひとつであったかくなる空調機とは違い、薪ストーブであったまるには、伐って、割って、干して、焚く作業が必要です。
そんなのめんどくさいといえばそれまでですが、そんな手間を楽しむのも薪ストーブならでは。
考えてみると薪ストーブには、道具を使いこなす楽しみがあります。
だから男の子がハマってしまうのでしょう。








2013年10月15日火曜日

窓辺をいろどる



真っ白な外壁を、文字通り華やかにする「フラワーボックス」。
わが家の外観は、軒天などところどころに見える木が温かみを感じされてくれますが、
白壁にサッシ枠のシルバーだけではなんだか殺風景。

そんなわけで、2階の窓にフラワーボックスが欲しいとは設計当初からのオーダーでした。

住宅地では窓辺の風景は決して良い眺めだけではありませんが、これなら無粋な風景もいい感じにしてくれるし、窓を開けてすぐ草花の世話ができます。




よく欧風の家では鉄やステンレスでつくったデコラティブなものを見かけますが、いまどきの木の家にはマッチしません。

木の家にマッチするシンプルな造形ながら、野暮ったくならないこと。
そんなコンセプトに沿うために前板と底板はヒノキで誂え温かみを感じさせながら、
壁からのアームは、オリジナルのものをステンレスでつくってもらいました。

アームは、派手な造形ではないので取付けると目立たなくなりますが、よく観察するとシンプルな構造の中に、ステンレス加工の高い技術が見受けられます。

壁と前板に接合する台座とアームは直角になるので、溶接加工をしても不思議はないのですが、曲げ加工にすることでシャープな印象を確保しています。しかもアーム部分の板は中抜きにしているので、デザイン的な重々しさがない。




うーーむ。。見れば見るほど考えられた造形です。

ほんとうはもっと鉢植えの草花を置きたいのですが、育てるタイミングを外したので、賑やかにするのは次の季節の楽しみに。

それより何より、明日は台風で大荒れらしいので、鉢植えを避難させなければ。


2013年10月8日火曜日

冬じたく








自宅前に積まれた木材の山。
これは自宅と創の家の建築現場で生まれた端材です。

数cm角から1mをこえる木材までバラバラ。
そのため細かい端材はカゴに入れていますが、その数すでに16。
不揃いの細かい端材はまだあるので、すべてを入れようと思うとカゴは20をこえてしまいます。

で、この端材をどうするかといえば、すべて薪ストーブの燃料になります。

薪ストーブって薪代が大変でしょ?
と聞かれますが、こうして端材をいただいてくれば燃料代はかかりません。

調湿性や香り、肌ざわりが良いとか、手入れ次第で長く使えるとか、このブログでは無垢材の良さを紹介していますが、端材も燃料として使えるのも魅力。

ちなみに、合板や新建材は化学物質を含むので薪ストーブには厳禁です。

さて、現場で生まれる端材はスギやヒノキがほとんどですが、針葉樹は空気層が多く材質が比較的柔らかい。ゆえに燃えやすいという特長があります。

一般的に薪材として売られているのは、ナラ、クヌギなど広葉樹ですが、それらは堅いゆえに燃えにくい。ただし、着火すれば長い時間をかけて燃えます。
パッと火がついてあっという間に燃え尽きるスギとは比べものになりません。

薪ストーブユーザーは、広葉樹に目がないのですが、そればかりじゃ燃料代がかかりすぎる。そうした意味でも建築端材を使うのはエコでお得な選択なんです。

いよいよ薪ストーブのシーズンになってきました。
自宅前に積まれた端材でひと冬越せるのか?それより前に薪棚をつくって薪を整理しなければ。。。

そんな不安を覚え始めた先週のこと、うれしいプレゼントが届きました。

大きめの段ボール8箱にみっちり詰め込まれた薪材。しかもケヤキです。

これならゆっくりゆらゆら燃える炎を長く楽しめるでしょう。



はたして8箱のケヤキの薪はどれくらいもつのか。
大事に使わねばと思う秋の日です。


自宅のストーブ「morso」購入のおまけでいただきました

2013年9月26日木曜日

木の家のお手入れ 2


無垢材とは、木がすっぴんの状態ということ。

調湿してくれるし、さらさらで肌触りは良いし、木の香りは心地良いのですが、
塩ビ加工やコーティングなどが施してあるフローリング材と違い、傷つきやすいのが玉にキズなんです。

創の家では、床材にスギ、カラマツ、ヒノキなどを使いますが、傷がつきやすいのもこの順番です。
すなわち、傷つきやすいとは「材質が柔らかい=肌触りがやさしい」ということで、スギは触れた感じでも温かみがあるのですが、柔らかい分だけ傷つきやすいのです。

ヒノキはスギと比べると、ちょっと触れただけで違いがわかるほど硬質で冷たい感じがします。しかし、その分スギより傷つきにくい特長があります。

カラマツは両者の中間的な材質といった位置付けです。

わが家ではカラマツを床材にしていますが、スギほどではないにしても、どうしても傷はつきます。

たとえば、硬い物を床に落とすとこんな傷が。。




ひとつやふたつならまだしも、多くあると目立ちます。

これをなんとか目立たなくしたい!!

そこで活躍するのが、たっぷり濡らした雑巾とアイロンです。

まずは、傷の箇所に濡らした雑巾の水をポトリポトリ。。。



次に、傷の上に雑巾を置き、その上からアイロンをジュジュッ!!とやってください。
高温のスチームで、躊躇せずぐいぐい押し付けるようにするのがポイントです。



「こんなことして大丈夫か・・・」
なんて恐れる必要はありません。
無垢材は傷つきやすい反面、柔軟で復元力があり強いんです。

さあ、熱々に蒸された木の香りがしてきましたか??
そうしたらほぼ完了と思ってOKです。

おもむろに雑巾をよけてみると。。。

じゃじゃじゃじゃーんで、じぇじぇじぇじぇ!!


鋭く凹んでいた部分が盛り上がり、だいぶ目立たなくなっています。
わかりますか??

木の繊維が割れたようなものは復元できないので、ちょっと割れたような痕はありますが、凹みはほとんど復元できました。

ポイントはたっぷり濡らした雑巾を、高温アイロンでぐいぐいです。
ただし、やり過ぎて床が焦げないように注意してください。

こんな住まい手自身ののちょっとした工夫で、手入れができるのも木の家ならでは。
塩ビ加工やコーティングした床材ではこうはいきません。

木の家はこんな風に手を加え、育てる楽しみがあります。



2013年9月15日日曜日

木の家のお手入れ 1



ああっ!!
仕事中に、真っ白な漆喰壁をボールペンが!!




 げげげ!!!
やべーんじゃねぇのー どーすっぺー  拭いて落ちっぺが???

と、そういえば「砂消しゴム」があったのを思い出しました。
じゃじゃ〜〜ん。




で、早速汚した部分をこすりこすり。。。




すると。。。。




な、なんとペンの痕はきれいになくなりました。
ちょっと強くこすってしまったので、表面に少し傷跡がありますが、
ゆっくり丁寧にすれば傷も目立ちません。

また、表面を滑らかにするには細目のサンドペーパーがおすすめです。

汚れの心配から漆喰壁を避けるようなことも聞きますが、大きなダメージでなければ
こうして簡単に修復できるのが魅力。
例えばこれが塩ビクロスだと、擦ればズルズル醜くなるだけです。

まあ、住んでいるうちの自然な汚れは“味”と考えることにして、
木の家はちょっとした智恵や工夫でさらに愛着が深くなります。


なにより木の家には、やはり漆喰壁がお似合いです。




2013年9月5日木曜日

階段の使い方



建築的な考え方では、階段は階下の床が持ち上がったものではなく、
上階の床が降りたものと考えるのが自然なんだそうです。
どんな理由によるかは忘れたので、気になる方は建築家に聞いてもらうとして、
その使い方については、建築の素人でも決められます。

単に上り下りのためだけでなく、合理性を求めるでもなく、
階段に遊びの要素を加えたり、ゆとりの空間と考えることはできないか。

例えば、階段と本棚を連動させてみる。




階段に十分な幅が確保できれば、そこは収納スペース兼読書のためのベンチにすることがきます。


またはこんな例も。




これは段差を棚スペースとしたもので、まさに階段をゆとりスペースと考えた好例と言えるでしょう。
ただし、住宅では簡単にマネできそうもない仕様ですが。

うちの場合、階段+本棚には憧れましたが、もろもろの事情で実現できませんでした。
でも、ただ実用的なだけの階段はつまらないし、開放的でなおかつ家全体のゆとり感を高められる階段が欲しいと考え、できたのがこれです。




踏板、桁、手すりのすべてがタモ材。
当初、開放感と強さのため、桁と手すりは鉄骨で、との予定でしたが、
『木でもつくれる!』という棟梁の一声でこんな階段に。

収納などの機能性はないけれど、玄関を入ってすぐ目につくそれは、スケルトン構造のため開放的で、ゆとりを感じさせるのに役立っています。

もちろん、太さ20センチもの桁による力強さや踏板の左右の支柱、スマートな手すりなど、そのすべてが独特の存在感を放っています。

『だれに見せても恥ずかしくない』と棟梁が言い切る自慢の階段。
わが家でその良さをいちばんに満喫しているのは、誰あろう愛犬かもしれません。








2013年8月4日日曜日

木の家に合うベッド


ベッド選びで重要なのはマットレス。
寝た状態で腰や肩など特定の場所だけに体重がかからないのが理想で、あとは体格でマットの硬度を選べばいいのだとか。
と、言われてお店で試しても、ちょっとの時間じゃ善し悪しや自分に合うかなんてわかりません。      1週間くらい試せれば良いのでしょうが、それをかなえる店やメーカーはあるのでしょうか。

そんなわけで、マットレス選びは迷いに迷いました。
コイルスプリングでふかふかのやつは、気持ち良いけど、柔らかすぎて腰が痛くなりそう。           では、ジェルスプリングでハイテクな感じのもの。これは疲れにくそうで良いかと思ったけど、なんか違う気が。
ならば、奮発して高いヤツか?とも思ったけど、それでダメだと目も当てられない。

結局、ある程度の値段なら寝心地の問題はクリアできると踏んだのですが、問題は見てきたベッドが木の家のイメージにどうも合わない気がして、木の家のやさしさや素朴さにマッチして、気持ちよく寝られて、予算内のものはないものか。と考えました。
そうなると、ゴージャスな感じのふかふかタイプでも、ジェルスプリングのハイテクなやつでもない。

そんな時に出会ったのが、IWATAの『ラークオウル』というマットレスです。

IWATA   http://www.iozon.co.jp

これは、カシミヤ、キャメル、ヤク、ホース、麻などの天然素材を使った積層構造のマットレスで、芯材にウレタンは使うけど、それ以外は獣毛を重ねてマットレスにしているというもの。金属スプリングやジェルなど化学的なものでなく、自然素材でできているのが特徴です。

自然素材=やさしい、素朴=木の家とつながり、ピンと来ました。

しかも、スプリングなどは使っていないので長く使ってクッション性が落ちたら、布団と同じように打ち返しができるといいます。

まさに理想とするマットレスでした。
これはいい!これにしよう!
問題なのは、一般の家具店などでは流通していなく、京都か東京のお店でしかお目にかかれないということ。
でも、ベッドを買うなんてそうそうないし、このチャンスとばかりに、京都まで出かけ念願のマットレスをオーダーしました。

さて、肝心の寝心地ですが、毎日快適です。
夜中に起きることもなく朝までぐっすり。寝起きも良いし、何度も寝返りを打つのもなくなりました。

見た目も派手さはなく、質感が無垢材と漆喰壁に合っています。
もしかすると、選んだ家具でベストな買い物だったかもしれません。




かかり綴じの糸は、紅白から色が選べます




2013年7月25日木曜日

ぼくらの川を



むかし、通った小学校では、毎日『帰りの放送』がありました。
要は、いつまでも遊んでないで家に帰りなさい、という呼びかけ。
私はその放送をほぼ毎日聞いていました。つまりギリギリまで学校で遊んでいた口です。

『寄り道をせず、まっすぐおうちへ帰りましょう』

放送の最後はそう呼びかけますが、それに対しては決まってこう反応します。

「まっすぐかえったら、川さおぢるもんね〜〜!」

どういうことかというと、小学校は川沿いにあり、校門を出て自宅の方向へまっすぐ進むと
川に突き当たるので、まっすぐ進むと川に落ちてしまうという、小学生ならではのカワイイ反論なわけです。

いまどきそんな反応をする小学生がいるのかは不明ですが、学校は変わらず川沿いにあるので、まっすぐ進むと川に突き当たるのは変わりません。

ところが今まさに、母校周辺はそんなカワイイ反論もありえなく変わろうとしています。

言うまでもなく、北上川沿いは地盤沈下と津波ですさまじい被害を受けました。
住吉公園の雄島と下流の堤防沿いはいまも荒れ果てたまま。
その下流沿いの護岸工事がいよいよ本格的に着工を始めました。

小学校のすぐ脇を巨大な礎石を積んだダンプが行き交い、振動と騒音、そして水しぶきをあげ川に投げ込まれています。

計画では旧北上川沿いに設けられる防潮堤の高さは、4m超〜7m超だとか。
私の母校の川沿いでは4m超の防潮堤がつくられます。

もう、校門を出てまっすぐ進んでも川に落ちることはありません。
それと引き換えに、夕凪の川面に映るあかね雲の美しさや、
しゃばしゃばと威嚇するように波音を立て荒れる怖さや、
底冷えする冬の夜の鏡面のような静寂を感じることはできなくなります。

私と同じ小学校に通った者だけでなく、石巻は、川に育まれてきた町です。
その町と人から、川が引き離されようとしています。

津波や水害への備えというには、あまりに短絡的な工事と思うのは私だけか。
川を身近に感じ、その怖さを知ればこそそれぞれが備えもできるはず、と考えるのは合理的ではないのか。

いま、ぼくらの川が変わってゆくのを前にできることは、これまでを忘れないようにすることだけなのでしょうか。

ぼくらの川を・・・守るのか、治すのか、つくり変えるのか。
私たちは川に育てられてきたのに、そのこれからを決めることができません。








2013年7月

2013年7月

2011年6月

2010年1月




2013年6月14日金曜日

「素地の良い家」は、清々しい。



自宅を建てるにあたり、建築士にはこんなお願いをしていた。

自分はモダンで合理的な空間が好きだが、仏壇と神棚を置く必要がある。
特定の様式や世界観に縛られるのは疲れるし、何しろイームズの椅子でパスタも納豆ご飯も食べる。そんな風に何でもありの無思想な生活には「素地の良い家」が良いと思うから、そんな感じでよろしく、と。

「モダンな家」=フラットで真っ白な壁に黒タイルの床、そしてガラスとステンレスやアルミの組み合わせ。「ナチュラル・カントリーの家」=パイン材。というように固定観念に縛られた家はとても我慢できない。
またはアンティークの調度品を好むばかり、新築なのにアンティーク調に仕立てるのもどうかしていると思う。

「たんなる見栄えのために、作為的なこと、わざとらしいことはしないし、お化粧はしない。精神の形がそのまま建築に表れればよい」

建築家の中村好文さんは、住まいのあり方をそんな風に言っている。
彼が言うように「雰囲気の建築」や「お化粧の建築」でなく、機能や合理性に裏打ちされた建築こそが私が望んだ「素地の良い家」なのである。

こだわったわけではないが、出来上がった家は自然素材による家になった。
合板は一切使わず、構造材から仕上げ材まで木材はすべて無垢の杉、ヒノキ、タモなど。居室の壁は漆喰で、トイレ、洗面所の壁紙もドイツ製の自然素材のものだ。断熱材も塗料も自然素材で、(お風呂以外の)見えるところはもちろん見えないところにも塩ビや化学物質は見当たらない。繰り返すが無垢の木材や自然素材にこだわったわけではない。

こんな家に住むと、ナチュラル志向であれこれ口うるさい人と思われがちだが、実際はCO2をバンバン吐出す俗人だ。結果として“自然素材によるこだわりの家”になったのは、使う材料や仕上げでAとBのどっちが「素地の良い家」にふさわしいかを選んだらこうなっただけである。

プリント化粧板と無垢の板のどっちが気持ち良いか?
漆喰壁と塩ビクロスはどっちが良いか?
エアコンと薪ストーブならどっち?

そんな選択の果てがこの家になった。
自邸自慢になるのは嫌なので冷めた見方をすると、アミダ式で考えてできた家なのである。

もちろんすべての面で好きなものだけを選べたわけではない。当然予算もある。
それでもこれだけの家にできたのは、こちらのわがままに付き合ってくれた親方をはじめ作り手たちがいてくれたおかげだ。

モノづくりに対する熱中度合いにおいて、私もそこそこのアホだが、彼らもかなりアホだと思う。
こっちが望んでもいないのに、こっちの方がカッコいいからと手間や儲けはそっちのけで仕入れたり、専門外なのに夜中まで床のオイル仕上げを手伝ってくれたりするのだ。

内外の塗装作業を自分でやることにしたのは少しでも費用を抑えるためだが、お金のためよりいつしか塗装作業が楽しくなり、目の前の家を仕上げることが目的になっていた。その場合の私は、施主でも依頼主でもなく作り手のひとりになれたと思う。

家を建てよう、と決めてから約1年9ヶ月。
竣工して感じたのは、自分の家ができた感動より、多くの人と一緒に関わった家が完成した感動だった。

家のカタチや仕上げを念頭に「素地が良い家」を追求してきたが、つくる過程で味わったのは、清々しさだった。

じっくりしつこくあきらめずに考え抜いた家は、見た目以上の価値を身につけるのかもしれない。







































2013年5月28日火曜日

ちまたのストーブさんに聞いてみた 3


暦のうえではもう夏。薪ストーブはシーズンオフを迎え、
ちまたのストーブさんには寂しい季節になりました。
もちろん、まだ使うよ!という人もいますが、おやすみの季節です。
3回目は、とくにこだわりの激しいメンバー2名を含めた薪ストーブ生活を紹介します。




質問:あなたの「薪ストーブ」について教えてください!
1. メーカーおよび機種名
2. 使用歴
3. 操作する人と手入れをする人
4. 薪ストーブを人にたとえると?
5. あなたの薪ストーブのいいところ




7.オンリーワンだよ!  オーナー:43歳/建窓業
1.山林舎のオーダーメイド品です   2.4年くらい
3.本人
4.寒がりが冬を越すための相棒
5.土間の真ん中に鎮座し、360°どこからでも炎が見えるのがいい!その分、ガラス掃除は大変だけど、そ  れもオンリーワンの楽しみだと思えばまた楽し。




8.火の神 阿修羅   オーナー:39歳/建築設計
1.JOTUL F3    2.6年目に突入
3.冬場は妻が操作。手入れは本人。薪割りは本人と息子
4.毎日顔を合わせるが、返事をくれない仲間
5.火の神である「阿修羅」は、サンスクリットの「asu」=(命)と「ra」=(与える)という意味なん  だそうです。たとえライフラインが止まっても、薪があれば暖めてくれ食事を用意することができる。  まさに“命を与える”神だと思います。





9.新人です!   オーナー:46歳/編集・広告業
1.MORSO  7110CB   2.今週から ♪
3.本人と妻
4.デンマーク生まれの新人さん
5.ワタシハ、デンマクカラ来マシタ。日本ゴヘタクソアルネ。ゴ主人ハ、変ワリ者ミタイケドガンバる   アルヨ! ニホンノ皆サン、ワタシニ名前ツケテクダサイ。ヨロシクナマステ





以上、身近なストーブさんを紹介しました。
これからストーブさんの仲間がどんどん増え、またここで紹介できることを期待します。